フォニックスとは?学ぶメリット・デメリットについても解説

英語の学習方法として、最近注目を浴びている
「フォニックス」
聞いたことがある方も多いと思いますが、
その内容をご存じですか?


このブログでは、フォニックスについてと、
学習していく上でのメリットとデメリットを
解説していきます。

お子さまに英語を習わせたい・・・とお考えのかたは、特にフォニックスについて知っていただき、
フォニックスをお子さまに教えるかどうか?
をご検討いただけたらと思います。

目次

簡単に言うと、フォニックスとは「初めて見る単語でも、発音がわかる力」

フォニックスを学ぶと、知らない単語が出てきても、自力で読めるようになります。

下記のフォニックスチャートをご覧ください。

フォニックスチャート

これはフォニックスを学習する時に使われるものです。

わたしたちはA-Zを、エイ・ビー・シーというアルファベット読みで学びました。

しかし、フォニックスではA-Zを、ア・ブ・クというフォニックス読みの音で学んでいきます。

その音が、上記のフォニックスチャートの音です。

この計26音を基本として、単語の音を見つけていきます。

たとえば、”DOG”(犬)という単語の音を、フォニックスチャートをもとに見つけていきましょう。

まず、D(ドゥ)、次にO(オ)、最後にG(グ)となります。

そして、1つずつつなげていくと、D(ドゥ) + O(オ) + G(グ)と読めます。

同様に、”BAG”(カバン)ならB(ブ)A(ア)G(グ)、”PEN”(ペン)ならP(プ)E(エ)N(ン)、といった感じで読めます。

このように、仮にBAGやPENという単語を初めて見ても、このフォニックスの音を知っていれば、
単語を読むことができます。というものです。

アメリカなどの英語圏で主に取り入れられているフォニックス学習法ですが、
日本の英会話教室などでも、徐々にこのフォニックス学習法が取り入れられるようになりました。

「親が教えなくても、英語の本を一人で読めるようになりますよ」とか
「発音がきれいになりますよ」など、盛んにPRもされています。

確かに、知らない単語を自力で読めることはすごいことですし、海外でもよく使われている指導法だと聞けば、「日本でもフォニックスを取り入れたらいいんじゃない?」ということになりますよね。

しかし、ただフォニックスをすればよいのか?といえば、そうではありません。

メリットとデメリットがありますので、両方を総合的に考えて、フォニックス学習法を取り入れるかどうか?を検討してみてください。

フォニックスを学ぶことのメリット

フォニックスを学ぶと、上記のように「知らない単語でも読める」という以外にもメリットがあります。

発音がよくなる

フォニックスチャートの26音を学ぶときに、英語特有の音をだす方法を学びます。

そのときに、どのような口や舌の動きをすればよいか?を一緒に教わります。

ここで1つ1つの音を正しく出す方法を学ぶので、当然単語の発音もよくなります。

単語の発音がよくなれば、英文を読む発音もきれいになるという訳です。

たとえば、FUN(楽しい)という単語だと、
日本語だと「ファン」となります。

しかし、フォニックスのF「フッ」という音を出すには、下唇を噛んで音を出さなければいけません。

この「下唇を噛んで音を出す」ということは、日本語ではありません。

このように、英語特有の音をだす方法を学ぶことで、英語の発音がよくなります。


単語を聞いたときに、どんなつづりなのか推測できる

たとえば、ドォグという音を聞いたとき、ドはD、ォはO、グはG、と推測することができます。

このように、音を聞けばどのようなつづりになるかを想像できるようになります。

聞いた単語がづづれるようになるということは、
文字にして書ける、つまり書く力もつきます。

日本人の子供が、ひらがなの書き方を学んで、自分の話している言葉を文字にして書いていく過程と同じです。

音・意味・づづりを同時に理解できる

すでに知っている音の単語であれば、音を聞いてつづりさえ分かれば、その単語の「つづり・意味」も同時に理解できます。

たとえば、プィッグ(ぶた)という音と意味を知っているけれど、つづりがわからないという場合、プィッグという音を聞いたときに、プィ=P 、イ=I、グ=G、と推測できます。

ここで、今まで知っていた音と意味に、つづりがリンクして音・意味・つづりの3つが同時に理解できるというわけです。

リスニング力がつく

英語特有の音を発音できるようになれば、その音を聞き取りやすくなります。

英語には空気音と呼ばれ、H=ハッというような空気の音を使って音を出すものがあります。

このように、英語には、日本語にはない音の出し方が多数存在します。

フォニックスを通して、日本語にはない英語の音の特徴に慣れ親しむことで、英語を聞き取る力も上がります。

子供が自信を持って、英語を話すようになる

日本人が気にしがちな「発音問題」

これが、フォニックスによって発音が上手くなることで、子供たちが自信をもって英語を話すようになります。

むちゃくちゃな英文でも、英語の発音がよければ、それだけで「英語ができる人」に見えませんか?
英語の発音がうまいと、それだけで「英語が話せている」と、ある意味錯覚します。

錯覚ではありますが、話している本人は気持ちがよいはずです。

本当のメリットとは言い切れませんが、本人が英語を気持ちよく話せているなら、英語のモチベーションが上がるという意味でプラスにカウントしたいと思います。

フォニックスを学ぶことのデメリット

どのような英語の学習方法においても、メリット・デメリットはありますが、ここではフォニックスを学ぶことでのデメリットについてお伝えいたします。

英語圏と日本では、フォニックスを学ぶ環境が全くちがう

アメリカなどの英語圏ではフォニックスの学習法が取り入れられていますが、これはフォニックスに適した環境だから、フォニックス法が取り入れられているのです。

フォニックスは、英語圏で育ち、英語がある程度話せるという条件があって、「音・意味・つづり」の3つを同時にマスターできるのであり、
日本人が仮に単語を読めたとしても、そもそもその単語の意味を知らなければ、意味がありません。

たとえば、洋書を読んでいて、仮に知らない単語が出てきて声に出して読めたとしても、その意味を知らなければ、本の内容は分からないままです。

実際に、A.W.ハイルマン著の” フォニックス指導の実際 “という書籍によると、英語圏の子供たちがフォニックスを勉強するときには、

① いろいろな人が話す何千という単語を使うことができる
② 自分が話すとき、数千語の単語を使うことができる
③ 何千という単語の意味を知っている

という能力がすでに備わってるとのことです。この条件が揃っているので、フォニックス法の力が最大限に発揮されます。

いっぽう、日本でフォニックスを学ぶ場合、まず学習をスタートさせる時点で、上記の①〜③の条件が備わっていることは、ほとんどありません。

日本でも、ある程度日本語が話せるようになった幼稚園児に、ひらがなの書き方を教えていきます。

これと同じくフォニックスも学び始めるには、ある程度の土台がなければ、ただフォニックスのルールを覚えるだけになってしまいます。


日本でフォニックスを学ぶ場合は、フォニックス学習を始めるタイミングや、さじ加減を上手に手ほどきしてくれる英会話教室や、フォニックスのカリキュラムがしっかり整っているテキストブックを利用するべきです。

でないと、せっかくフォニックスを勉強しても、費やした時間と労力が多い割に、英語力が身につかなかった・・・という結果になりかねません。

覚えるべきルールがとても多い

アメリカでは、幼稚園児から小学校3年生あたりまで時間をかけて、たくさんあるフォニックスのルールをマスターします。これを日本人が同じようにマスターしようとすると、少なくともこの倍は時間と労力がかかります。

数多くあるルールの一部を紹介します。

  • cake(ケーキ)のように、単語の後ろにeののつく単語は、おしりの(e)の音が消えて、前にある母音(a)の音がアルファベット読み(エイ)になる。→ five(数字の5)やrose(バラ)もこのルールに沿って読みます。
  • rain(雨)・ tea(お茶)・pie(パイ)などのように、a,i,u,e,o,という母音が2つ並ぶと、母音の前がアルファベット読み、後ろの母音は読まない、というルールになります。
  • china(中国)・ship(船)・white(白)のように、2つの子音がくっつくと、新しい音をつくる

など、このようなルールが他にもたくさんあるので、ルールを覚えるだけでも一苦労します。


先に挙げたA・W・ハイルマン氏も、フォニックスを学ぶ懸念として、「語学を学ぶことが、ルールを学ぶことになってはいけない」ことを挙げていました。

例外も多い

先の例にあげた、cakeなどの単語のルールでは、「一般的にeで終わる単語は、eの音が消えて、前にある母音がアルファベット読みになる」とお伝えしました。

しかし、例外にあたる単語が多くあり、live(住む)という単語も、上記の例でいうと(ライブ)と発音しますが、「住む」という動詞の場合は(リブ)となります。

some(いくらかの)や、give(あげる)も、同様に例外に当てはまります。

このように、よく使う単語がかなり例外に該当するので、せっかくルールを学んだのに、逆にそれが混乱させてしまうケースがあります。

また、ルールを覚える以外に例外も覚えるのであれば、その労力は相当たるものです。

フォニックスは基本のルール以外にも、このように例外の単語もたくさん覚えないといけないため、
マスターするのに時間も労力もかかります。

フォニックスで学ぶ音以外にも、発音されている音がたくさんある

フォニックスで学ぶ音以外に、英語ではたくさんの音が使われています。

たとえば、A(ア)ですが、これは英語だと æ ʌ ə ɑː  ɑ と5つの音が存在します。日本語で表現すると、全部「ア」の音に集約されますが、英語は「ア」のような音が5つもあるイメージです。

同様に、「イ」「ウ」「エ」「オ」の他の母音に関しても、複数の音が存在します。

ですので、フォニックスを学んだから発音が完璧になるかと言えば、そうではありません。

また、英語は日本語と違って、喉の奥から声を出して話します。英語の音に深みがあるのはそのためです。
そもそも、日本語の音を作る場所と、英語の音を作る場所が違うのです。

ですので、発音だけを重点的に伸ばしたいのであれば、発音を専門に教えている英語教室や、英語教材の方が効果があると思います。

フォニックスを教えること自体が難しい

日本は英語圏のように英語に触れる環境が整っていないこと、また英語の音を教えることが難しかったり、フォニックスのルールが多すぎることから、お子さまに適切に教えることが難しいのがフォニックスです。

また、フォニックスをマスターするには長い年月がかかりますので、それまでフォニックスをやり続けるモチベーションも保たなければいけません。

ただアルファベットの音を教えればいいだけではないので、フォニックスの学習をスタートするのは慎重に下調べをしてからの方がベターです。

まとめ

フォニックスを学ぶ際には、メリットだけにとらわれず、デメリットも考慮する必要があります。

何より英語は継続することで、力がついていきます。

フォニックスはマスターするのに長い時間がかかるので、その時間と労力をコミットできそうか?
また、お子さんが興味を持って、継続して学習していけそうか?を一度考えてみましょう。

以上、ここまでお読みいただきありがとうございました。

「フォニックスを学ばせようかな?」とお考えのかたに、こちらのブログが少しでもヒントになれば幸いです。

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